ワクチンの発見から
ワクチンは、感染の原因となるウイルスや細菌をもとに作られています。 成分の違いから、大きく「生ワクチン」「不活性ワクチン」「トキソイド」に分けられています。 近年では、意見が分かれる新型コロナウイルス・ワクチンの開発が進んでいます。 今回は、鶏コレラ・ワクチンを発見したルイ・パスツールの逸話からです。
1879年のある日、ルイ・パスツール(フランスの生化学者)は、 3ヶ月のバカンスから戻ってきて休み前にしていた実験を再開しました。
通常、新鮮なコレラ菌の培養液を注射されたニワトリは24時間以内に必ず死んでいました。 ところが、3か月間そのまま放置された培養液をニワトリに注射したところ、 ニワトリは病気にならず、ピンピンしていたのです。
コレラ菌の培養液が、なぜそのまま放置されていたのか。 実は、「細菌を短期間ごとに植え継ぐ」というパスツールの指示を助手が怠ったのです。
助手のさぼりによって、実験は失敗に終わったように思えました。
しかし、パスツールはこの失敗のもたらした幸運を見逃さなかったのです。
彼は新鮮な培養液を、そのニワトリに注射しました。 そうすると、ニワトリは病気になることなく、ピンピンしていたのです。
パスツールは、偶然に訪れた機会を前向きに捉えることができました。
つまり、彼は弱くなった細菌の培養液を使って、ニワトリに免疫つけることに成功したのです。
こうして新しい研究が導かれ、 「減弱された微生物は病気を起こさない。それは免疫を与え、ワクチンになりうる」と。
この逸話の教訓は、自分にとって大切なものを探しているときに 探しているものとは別の価値あるものを偶然に見つけられることがあります。 ただし、その偶然の出来事を見逃さない「聡明さ」と「前向きな広い心」を 持っていることが肝要になります。